スペインでデジタルノマドビザ(DNV)を取得し、個人事業主(autónomo/アウトノモ)として働いている方にとって、税務登録だけでなく、社会保障(Seguridad Social)への加入状況も重要な確認ポイントです。

「DNVも取得したし、税務署への登録も済ませたから大丈夫」

そう思っていても、実際に仕事を始めた日と社会保障への加入日にズレがある場合、DNV更新時にその経緯について確認や対応を求められることがあります。

実際にinnotaxesが最近対応したDNV更新案件でも、移民局(UGE)から、DNV取得後の活動状況と社会保障への加入時期の不一致について対応を求められるケースが出ています。

では、どのような場合に「RETAへの登録が遅れていた」と判断される可能性があるのでしょうか。

この記事では、最近の実務事例も踏まえながら、

  • どのようなケースで登録時期が問題になりうるのか

  • DNV更新前に確認しておきたいポイント

  • UGEから対応を求められた場合に確認すべきこと

をわかりやすく整理します。


2026年6月頃から、DNV更新時の提出書類に変化

まず押さえておきたいのが、最近のDNV更新手続きにおける実務上の変化です。

2026年6月頃から、DNV更新のオンライン申請において、更新前2年分のスペインでの確定申告関連書類の提出を求められるケースが確認されています。

個人事業主の方の場合、主に過去2年分の所得税の確定申告書(Modelo 100)などが該当します。

ここで注意したいのは、2026年6月にDNVに関する新しい法律が施行された、という意味ではないことです。

あくまで、innotaxesが実際の更新手続きを行う中で確認している提出書類に関する実務上の運用の変化です。

確定申告書には、申告した所得や事業活動に関する情報、社会保障料などが反映されています。

そのため更新時には、

DNVの情報 → 税務上の登録・申告 → 社会保障への加入

という一連の記録を、以前より確認しやすくなったと考えられます。

個人事業主としてDNVを保持している方にとって、これまで以上に各記録の時系列や内容に整合性があるかが重要になっています。


「アウトノモ登録が遅れた」とはどういう状態?

「登録が遅れた」と聞くと、

「DNV取得から30日以内に登録しないといけないの?」

「3か月以内なら大丈夫?」

など、ビザ取得日から一定の期限があるように思うかもしれません。

しかし、単純に「DNV取得から○日以内」という一律の日数だけで判断できるものではありません。

UGEが公開しているリモートワーカー向けのガイダンスでは、自営業として活動する申請者について、許可取得後、スペインで活動を開始する前に自営業者特別制度(RETA)へ加入することが前提とされています。

そのため、本記事では分かりやすく、次のような状態を「RETAへの登録が遅れていた可能性があるケース」として説明します。

スペインの社会保障制度への加入が必要だったにもかかわらず、RETA加入の効力発生日より前に、スペインで仕事を始めていたケース

つまり重要なのは、単純に「DNVを取得してから何か月後にRETAへ登録したか」ではありません。

実際にいつからスペインで活動を開始し、その時点でどの社会保障制度に加入していたのかを確認する必要があります。

まず確認したい5つの日付

次の5つの日付を、時系列に並べてみましょう。

  1. DNVの許可が出た日

  2. スペインで活動を開始できるようになった日

  3. 実際に個人事業主として仕事を始めた日

  4. 税務署(AEAT)へ事業開始を届け出た日

  5. 社会保障財務総局(TGSS)におけるRETA加入の効力発生日

これらの日付がすべて同じでなければならない、というわけではありません。

また、日本などスペインと社会保障協定を締結している国については、一定の条件を満たすことで、スペインの社会保障制度ではなく出身国の制度への加入を継続できるケースもあります。

UGEのガイダンスでも、該当する国際的な社会保障ルールが適用され、必要な証明書を提出できる場合には、出身国の社会保障制度に残るケースが想定されています。

一方、

「DNV取得後、すでにスペインで仕事を始めていた」
「スペインの社会保障への加入が必要だった」
「しかし、RETAの加入日はそれよりかなり後になっている」

という場合には、DNV更新前に一度状況を確認しておいたほうがよいでしょう。

もちろん、日付にズレがあるからといって、直ちに「登録が間違っていた」「DNV更新が却下される」という意味ではありません。

実際の判断は、それぞれの活動状況や社会保障への加入義務などによって異なります。

デジタルノマドビザを取得して終わりじゃない。スペインの税務申告状況を確認しておきませんか?

innotaxes by innogroupでは、スペインでDNVを取得している個人事業主の方向けに、税務申告・Autónomoに関するサポートを行っています。

「過去の確定申告に問題がないか確認したい」「DNV更新に向けて税務上の記録を整理しておきたい」など、更新前のご相談も日本語で承っています。

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自分のRETA登録が遅れていたか、どう確認する?

まずは、次の情報を時系列に並べてみてください。

① DNVの許可日
在留許可が出たのはいつか。

② 実際の活動開始日
スペインから実際に仕事を始めたのはいつか。

③ AEATへの届出日
税務署に事業開始を届け出たのはいつか。

④ TGSS/RETAの加入日
社会保障の記録上、RETAへの加入がいつから有効になっているか。

⑤ 他国の社会保障への加入状況
社会保障協定などに基づき、日本など他国の社会保障制度に加入していた期間があるか。

最も重要なのは、

スペインで仕事を始めた時点で、自分の状況に合った社会保障制度に適切に加入していたか

という点です。


なぜDNV更新時に問題になりやすい?

RETAへの加入が遅れていたとしても、その時点ですぐに在留資格の問題として指摘されるとは限りません。

一方、デジタルノマドビザの更新では、UGEが過去の活動状況に関する複数の情報を確認することになります。

たとえば、

  • DNVの許可日

  • AEATへの事業開始届出

  • RETAへの加入状況

  • 確定申告で申告した所得

  • 社会保障料の納付状況

などです。

その結果、税務上は事業を開始しているのに、同じ期間にRETAへの加入記録がないなど、記録の間に大きな食い違いが見つかった場合、UGEから追加の説明や対応を求められる可能性があります。

最近innotaxesが対応している更新案件でも、実際にこうしたケースが確認されています。


【実例】最近のDNV更新案件で起きていること

innotaxesが対応した案件の中には、RETAへの加入時期が想定より遅れていたDNV保持者について、過去にさかのぼって社会保障の加入状況を是正・訂正するよう求められたケースがありました。

こうした要請は、正式な追加書類要求(Requerimiento)として届く場合があります。

回答期限が比較的短いこともあり、私たちが確認したケースの中には、10営業日程度で必要な情報の提出や対応を求められたケースもありました。

ただし、「DNVのRequerimientoは必ず10営業日」という意味ではありません。

実際の回答期限は、それぞれの通知に記載されている期限を確認する必要があります。

また、過去にさかのぼったRETA加入・訂正の手続きについても、結果は一様ではありません。

実際のケースでは、

  • 認められた

  • 一部の期間のみ認められた

  • 手続きが長期化した

  • 認められなかった

など、対応が分かれています。(なんともまあ、スペインらしいですね・・・)

現時点では、このような「DNV保持者のRETA登録が遅れていたケース」をどのように扱うかについて、公開された統一的な基準を確認することが難しい状況です。

これが、この問題への対応を複雑にしている理由のひとつです。


TGSSに直接問い合わせてみました

案件によって結果が異なっていたため、innotaxesではスペインの社会保障当局であるTGSSに直接問い合わせ、現在の取り扱いについて確認しました。

その際に得た回答では、外国人申請者の登録が遅れていたケースの取り扱いについて、担当部署が上層部(Dirección)からの追加の指示を待っている状況とのことでした。

ただし、これはあくまでinnotaxesがTGSSと直接やり取りした際に得た情報であり、一般向けに公表された正式な方針ではありません。

また、

「DNVの更新手続きが停止している」
「アウトノモの登録が停止している」
「登録が遅れていたDNV保持者は全員更新できない」

という意味でもありません。

現時点で問題となっているのは、RETAへの加入が遅れていた一部のケースについて、過去にさかのぼった是正をどのように扱うかが不透明であることです。


DNV更新前に確認しておきたい8つのポイント

「もしかしたらRETAへの登録が遅れていたかもしれない……」

と心当たりがある方は、更新直前ではなく、できるだけ早めに記録を確認しておくことをおすすめします。

最低限、次の8点を確認しておきましょう。

1. DNVの許可日

最初に受け取ったDNVの許可通知に記載されている日付を確認します。

2. 実際に仕事を始めた日

スペインから実際に業務を始めた時期を確認します。契約書や請求書など、活動開始時期が分かる資料も確認しておくとよいでしょう。

3. AEATへの届出内容

税務署への事業開始届について、登録されている効力発生日や事業内容を確認します。

4. TGSS/RETAへの加入日

手続きを行った日ではなく、RETA加入の「効力発生日」を確認することが重要です。

5. 直近2年分の確定申告

DNV更新に関係するModelo 100などの内容が、実際の活動状況と一致しているか確認します。

6. 社会保障の加入記録

RETAへ加入していた期間と、社会保障料の納付状況を確認します。

7. 他国の社会保障への加入状況

日本など他国の社会保障制度に加入していた場合、社会保障協定の対象となっていたか、必要な適用証明書などが揃っているか確認します。

8. UGEから届いている通知

Requerimientoが届いている場合は、要求されている内容と回答期限を確認します。

「10営業日程度だろう」と自己判断せず、必ずご自身に届いた通知に記載されている期限を確認してください。

 

「DNVの更新が停止している」ということではありません

ここは誤解しやすいポイントなので、改めて整理しておきます。

この記事で取り上げている問題を理由に、DNVの更新が一律に停止されたという公表はありません。

現在確認されているのは、RETAへの加入が想定より遅れていた一部のDNV保持者について、更新手続きの中で社会保障への加入状況に関する対応を求められるケースがあり、その結果が一様ではないという状況です。

TGSSの担当部署も追加の指示を待っているとの情報があるため、今後、新たなガイダンスや運用方針が示されれば、取り扱いが変わる可能性があります。


まとめ|DNV・税務・社会保障を「ひとつの時系列」で確認しよう

個人事業主としてDNVを取得している方にとって、避けたいのは、更新申請をしてから初めて「登録時期が合っていない」と気づくことです。

DNVの許可日、実際の活動開始日、AEATへの届出日、RETAへの加入日が異なっているからといって、それだけで問題になるわけではありません。

一方で、

スペインの社会保障への加入が必要だったにもかかわらず、RETA加入の効力発生日より前からスペインで仕事をしていた

という場合には、更新前に一度状況を整理しておくことをおすすめします。

特に、最近のDNV更新手続きでは過去の税務申告書類を求められるケースも確認されているため、これまで以上に各記録の整合性を確認しておくことが重要です。

ポイントは、在留資格・税務・社会保障をそれぞれ別々に見るのではなく、

DNV取得 →  税務登録 → 社会保障加入 → 税務申告

というひとつの時系列として確認することです。

DNVの更新が近づいていて、

「自分のRETA登録日は問題ない?」
「活動開始日と社会保障の加入日にズレがある」
「UGEからRequerimientoが届いたけれど、どう対応すればいい?」

といった不安がある方は、innotaxesまでご相談ください。

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免責事項

本記事は、innotaxesが実際に対応した案件およびTGSSとのやり取りを通じて得た情報をもとに作成したもので、一般的な情報提供を目的としています。個別の法律・税務・移民手続きに関する助言を提供するものではありません。

本記事に記載した行政上の取り扱いは、今後の法改正、行政機関の方針・運用変更、新たなガイダンスなどにより変更される可能性があります。

また、DNV保持者の状況は、活動開始時期、税務登録、社会保障への加入状況、社会保障協定の適用などによって異なります。具体的な手続きについては、ご自身の状況に応じて個別にご確認ください。