スペインでフリーランス(Autónomo)や会社経営をしていると、

  • EUの海外企業に業務委託したい
  • 海外のデザイナーやマーケターへ支払いをする
  • 他国の会社へ請求書を発行する

といったケースが増えてきます。

しかし、このタイミングで多くの人が悩むのが、

「海外取引のIVA(VAT)はどうなるの?」

という問題です。

  • 海外の会社から請求書を受けたらIVAは必要?
  • スペイン側で税金は払うの?
  • ROIって登録した方がいい?
  • 海外企業への支払いは経費になる?

こうした疑問は非常に多く、特にスペイン移住後に事業を始めた日本人の方からよく相談を受けます。

実は、ヨーロッパ圏内とのB2B取引は、通常のスペイン国内取引とはIVAルールが大きく異なります。

この記事では、スペインで事業を行う方に向けて、ROI(Registro de Operadores Intracomunitarios)制度とEU取引時のIVAルールを、初心者でも理解できるように整理して解説します。

 

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1. はじめに:知っておくべき基本用語

まずは、混乱しやすい用語を整理しましょう。

  • B2B: 企業間取引(会社同士、または個人事業主と会社など)。

  • IVA: スペインの付加価値税(消費税)。他国のIVA(ドイツやフランスなど)は、原則としてスペインで控除(還付)することはできません。

  • ROI: EU域内事業者登録。これに登録することで、ヨーロッパ他国とのB2B取引でIVA抜き(0%)の請求が可能になります。

  • NIF-IVA: ROI登録後に付与される、欧州共通のVAT番号です。

  • Inversión del Sujeto Pasivo(リバースチャージ): 「税金の支払い義務を入れ替える」仕組み。本来売り手が払う税金を、買い手が自国で申告します。

  • VIES: ROIに登録されている企業・個人を検索できる公式データベースです。


2. ROI制度とは?なぜ登録が必要なのか

ROIは、簡単に言うと「私はEU域内でビジネスをしている正規の事業者です」という証明リストです。

このリストに登録することで、二重課税を避け、EU他国の企業と「IVAなし(0%)」で請求書をやり取りできるようになります。これは単なる事務手続きではなく、キャッシュフローを改善し、余計なコスト(還付できない他国IVAの支払い)を抑えるための重要な節税戦略です。

ROIが適用されるための3条件

  1. 取引がB2B(事業者間)であること。

  2. 自社(自分)がROIに登録していること。

  3. 取引相手(EU他国)もROIに登録していること。


3. ROIの申請方法と審査の裏側

ROIは申請すれば誰でもすぐにもらえるわけではありません。スペイン税務署(Hacienda)による審査があります。

  • 申請書類: 税務署へModelo 036を提出します。

  • 審査のポイント: 税務署は「本当にビジネスの実態があるか」をチェックします。事業内容、売上予測、オフィスの有無、取引先の正当性などが判断材料になります。場合によっては追加資料の提出や、抜き打ちの確認が行われることもあります。

  • 期間: 数日から、場合によっては最大3ヶ月ほどかかります。


4. 【実例比較】ROIがある場合とない場合

具体的なケースで、手元に残るお金がどう変わるか見てみましょう。

ケース①:一方がROIに登録していない場合

あなたはスペインのAutónomoで、ラトビアのSMM(SNS運用)担当者に仕事を依頼しました。あなたはROI登録済みですが、相手は未登録です。

  • 結果: ラトビアの担当者は、自国のIVAを乗せた請求書を送ってきます。

  • デメリット: このラトビアのIVAは、スペインでは経費控除できません。 つまり、その分だけあなたの支出が増え、利益が削られることになります。

ケース②:双方がROIに登録している場合

スペインの法人(S.L.)であるあなたが、ドイツのWebデザイナー(ROI登録済み)に依頼しました。

  • 結果: 請求書はIVA 0%になります。

  • メリット: スペインでの申告(Modelo 303)でこの取引を処理するだけで済み、余計な税金の持ち出しが発生しません。実質的なコストを最小限に抑えられます。


5. 絶対に避けるべき「よくあるミス」

実務でやりがちなミスをまとめました。これらは税務調査の対象になりやすいので注意が必要です。

  1. 無言の「IVA 0%」請求: 請求書をIVAなしにする際は、必ず理由(例:Inversión del sujeto pasivo)を明記しなければなりません。根拠のない0%請求は「脱税」と疑われるリスクがあります。

  2. フライング請求: 申請中であっても、承認される前にIVA抜きで取引を始めてはいけません。

  3. Modelo 349の未提出: 「納税額が0円だから申告不要」と考えるのは間違いです。EU域内の取引がある場合は、必ずModelo 349(域内取引報告書)を提出しなければなりません。


6. まとめ:取引前の「チェックリスト」

他国のパートナーと仕事をする前に、以下の4点を必ず確認しましょう。

☐ その取引はB2Bですか?
☐ 双方が法人、または個人事業主ですか?
☐ 双方が別のEU加盟国に所在していますか?
☐ 双方がROI(VIES)に登録済みですか?

これらがすべて「YES」なら、リバースチャージ(IVA 0%)を適用できます。

最後に

ROIは、スペインで欧州全域を相手にビジネスを展開するための強力な武器です。正しく設定・運用することで、無駄なコストを抑え、クリーンな経営が可能になります。

「自分の場合はどうなるの?」「手続きが不安……」という方は、ぜひInnoTaxesへご相談ください。スペインの複雑な税務を、日本語で分かりやすくサポートいたします。

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※本記事の内容は2026年1月時点の情報に基づいています。スペインの税法は頻繁に変更されるため、実務にあたっては必ず最新の法令を確認するか、専門家のアドバイスを受けてください。